虫に刺された瞬間、皮膚の下で何が起きているのか。ここを理解することこそが防護の第一歩となる。
蚊は繊細な構造を持つ。細い注射針のような口器を皮膚にすっと突き刺し、毛細血管を探し当ててダイレクトに血を吸い上げる。刺す際には麻酔成分と血液凝固を防ぐ唾液物質を注入するため、刺された瞬間はほとんど痛みを感知できない。
一方で、ブヨ(地域によってはブユやブトと呼ばれる)の攻撃は極めて野蛮だ。口器に針を持たない彼らは、ギザギザの鋸状の口で人の皮膚を「食いちぎる」。引き裂かれた皮膚から滲み出た血のプールを舐め取るという、凄惨な吸血スタイルをとるのだ。生物学的に分類すれば双方ともハエ目(双翅目)の昆虫だが、口器の構造と攻撃アプローチにおいては似て非なる存在と言える。