猫が植物に対してこれほど過剰とも言える反応を示す理由は、単なる気まぐれでも遊興でもない。マタタビ(Actinidia polygama)に含まれる特定の成分が、猫の体に付着することで発揮される防虫作用こそが、その最大の目的だったのだ。
野外で生活する動物にとって、害虫による刺咬は単なる不快感にとどまらず、心糸虫症をはじめとする感染症のリスクに直結する。猫がマタタビの葉や枝に顔をこすりつける行為は、天然の防虫スプレーを全身に纏うための切実な生体防御策だった。米科学誌『Science Advances』に掲載された革新的な研究成果は、従来の概念を根本から覆し、生存戦略としての新たな側面を白日の下に晒した。