脚本を手掛けた宮藤官九郎の手腕は、劇的な二部構成の中に色濃く表れている。1912年のストックホルム大会から1964年の東京大会まで、半世紀に及ぶ日本のオリンピック挑戦史を、落語家・古今亭志ん生の語りを交えて描き出した。
教科書には載っていない東京五輪誘致の舞台裏や、戦火に散ったアスリートたちの悲劇、招致運動に命を燃やした男たちの生々しい葛藤。宮藤官九郎特有の軽妙なセリフまわしとユーモアの裏側に、ズシリと重い歴史の真実を忍ばせる手法が見事だ。視聴者は爆笑させられた直後に涙を流すという、唯一無二の感情体験に引き込まれていく。