世界中のあらゆる世界一を集める「ギネス世界記録」においても、文字の画数に関する認定は慎重に行われている。単に線を多く引いただけのグラフィックと、言語として機能する「文字」との境界線はどこにあるのか。一般に、言語学的な裏付けや歴史的な使用例が存在することが、公的な記録として認められるための不可欠な要件となる。
日本の言葉と言語生活を科学的に調査する「国立国語研究所」の各種データを見ても、現代人が日常生活で接する漢字の数は常用漢字2136字を中心とする数千字程度である。専門家は、何百画もの線で構成された文字について「実用的な情報伝達の道具としての限界を超えているが、人間の視覚認知や記号への興味をくすぐる現象として極めて興味深い」と指摘する。実用性から離れた地点でこそ、文字の造形美や極限への挑戦が際立つのだ。