なぜ猫はお尻を使ったコミュニケーションを好むのか。その答えは、猫の生態と感覚器の仕組みにある。
イギリスの著名なジョン・ブラッドショー(動物行動学者)らの研究をはじめとする現代の動物行動学では、猫のコミュニケーションにおける匂いの役割が非常に重視されている。猫の尾の付け根や肛門の周りには、個体固有の匂いを発する分泌腺が存在する。猫同士が挨拶を交わす際、お互いのお尻の匂いを嗅ぎ合うのは、相手の身元や健康状態を確認するための名刺交換のような儀式なのだ。
また、仲の良い猫同士でお互いを舐め合って絆を深める臭腺フェロモン(アロルーミング)の文化とも密接に結びついている。お尻を差し出すのは、「私の匂いを確認していいよ」「絆を確かめ合おう」という親密な挨拶の招待状なのである。