では、なぜ人間はこれほどまでに他人の視線や評判を恐れ、肩身を小さくしてしまうのだろうか。この問いに対して明確な知見を与えてくれるのが認知心理学だ。
日本心理学会で議論される最新の行動理論においても、人間が集団から排斥されることを回避しようとする防衛本能が指摘されている。過剰に周りの顔色をうかがう態度は、生物学的な生存戦略の残り香なのだ。しかし、情報が過剰に錯綜する現代において、この本能はしばしば誤作動を起こす。「他人は自分を厳しく監視している」と思い込むスポットライト効果が働き、自分自身の自己肯定感を著しく削ぎ落としてしまうのである。