「あるある言いたい」というフレーズを聞いたとき、観客が最もワクワクするのは“あるあるそのもの”ではなく、“言われるまでの極限の焦らし時間”です。前奏からAメロ、Bメロ、さらにはサビに入ってもなお「早く言いたい」「今から言うよ」と宣言するばかりで、本題のフレーズは一向に飛び出しません。
お笑いの基本構造である「緊張と緩和」の観点から見ると、この芸は極めて計算された心理誘導に基づいています。レイザーラモンRGが圧倒的な歌唱力とシリアスな表情で熱唱し続けることで、会場内の空気は「いつ言うのか?」「どんな鋭い視点が来るのか?」という緊張感で満たされます。
しかし、限界まで引き延ばされた末に歌われるオチは、「居酒屋のトイレ、段差ありすぎ」「新幹線のトイレ、鍵閉めたか不安になりがち」といった、誰も否定できないものの極めて日常的で脱力感のあるフレーズです。この張り詰めた期待値と脱力オチの巨大な落差こそが、観客の腹筋を崩壊させる最大の要因となっています。