だが、不安の根源は「いつまで続けば正常なのか」という点にある。小学校に入学し、ひらがなや漢字の体系的な学習が始まってもなお、長期間にわたって文字の反転が頻出し、読み書き全般に著しい苦痛を伴う場合は視点を切り替える必要がある。特に、知的な遅れがないにもかかわらず文字の認識や読み書きだけに強い困難を示すディスレクシア(読字障害)や、広く学習障害(LD)の一症状として現れているケースが考えられるからだ。
日本小児神経学会の専門家や小児発達医学の研究現場においても、単に「鏡文字を書く」という一点のみで即座に発達障害と判断することはない。観察すべきなのは、文字を音に変換する際の滑らかさだ。「音読すると極端に単語を飛ばしてしまう」「文字の形と読みがいつまでも結びつかない」「書き順や文字の大きさが著しく混乱している」といった症状が同時に見られるかどうかが、見分け方の大きな基準となる。