2010年代前半、野球界のスター選手を巡る報道は現在以上に激しさを極めていた。写真週刊誌や女性誌は、選手のプライベートを昼夜を問わず追跡。少しでも接点が見えれば「熱愛」「密会」といった大々的な見出しを掲げた。当時、球界を代表する捕手として絶大な影響力を持っていた阿部氏もまた、そうした標的の筆頭格だった。
報道が出た当時、世間の関心は一気に高まった。しかし、一面を飾ったショッキングな見出しとは裏腹に、具体的な証拠や決定的な写真は乏しかった。当事者双方による明確な公的コメントがないまま情報が交錯し、確証のないエピソードだけが面白おかしく切り取られていったのだ。ジャーナリズムの観点から見れば、取材対象のプライバシーと商業主義的な報道姿勢との歪みが顕著に現れた事例と言えるだろう。