一般のユーザーにとって極めて快適なTrue Toneですが、クリエイティブの現場やネット上のコミュニティでは「真っ先にオフにすべき機能」として語られることが少なくありません。その理由は、「ディスプレイが表現する色の絶対的な正確性が損なわれるから」に他なりません。
写真家、グラフィックデザイナー、動画エディター、さらにはフリマアプリで商品の物撮りを行う出品者に至るまで、色味を扱う作業では「sRGB」や「Display P3」といった統一された色空間規格に準拠した表示が求められます。しかし、True Toneが有効になっていると、間接照明の下で作業している際に画面全体が黄色く補正されてしまいます。その結果、作業者は無意識のうちに「写真が黄色すぎる」と錯覚し、青みを足す補正をかけてしまいがちです。そのデータを他人のスマートフォンや標準モニターで見ると、今度は「青白すぎて不自然な写真」に仕上がってしまうというトラブルが現場で頻発しています。
SNSやクリエイター向け掲示板でも、「カフェの暖色照明でレタッチした写真を納品したら、クライアントから色味が青すぎると突き返された」「ECサイトの衣類の色が実物と違うとクレームになり、調べたらTrue Toneが原因だった」といった苦い失敗談が散見されます。視覚的な心地よさと、産業用データとしての色の正確性はトレードオフの関係にあるという点が、プロがオフを選ぶ最大の理由です。