かつて百人一首でも詠まれた逢坂の関。東海道の難所として知られたあの峠を、現代のテクノロジーはいとも簡単に越えていく。
車輪を軋ませながら急カーブを曲がり切るための特殊な散水装置や、地下鉄線内と地上区間で切り替わる保安装置。運転士は地下鉄の運行基準から地上・道路上の法規へと、瞬時に頭を切り替えてハンドルを握る。この駅を出発する瞬間、運転席には独特の緊張感が走る。
わずか数分の乗車で、車窓の景色は暗闇のシールドトンネルから、緑豊かな山道、そして大津の生活道路へと劇的な変化を遂げる。そのドラマのプロローグを告げるベルが、今日も地下ホームに鳴り響く。