1980年代初頭の日本のユースカルチャーは、リーゼントに革ジャン、ドカンやボンタンといった独特の変形学生服に身を包んだ「ツッパリ(ヤンキー)文化」の隆盛期にありました。その中心にいたのが、T.C.R.横浜銀蝿R.S.(横浜銀蝿)です。彼らが打ち出したシンプルでキャッチーなロックンロールと、どこかユーモラスで哀愁漂う世界観は当時のティーンエイジャーを熱狂させました。
その横浜銀蝿の「弟分」として1981年に俳優・タレント活動を開始し、1982年に歌手デビューを果たしたのが嶋大輔です。1982年4月28日にリリースされたセカンドシングル『男の勲章』(キングレコード)は、日本テレビ系ドラマ『天まであがれ!』の主題歌に起用され、オリコンチャート最高3位、約37万枚のセールスを記録する大ヒットを記録しました。
この楽曲の作詞・作曲を手掛けたのは、横浜銀蝿のリードギタリストであり、後にキングレコードの代表取締役社長に就任するJohnny(浅沼正人)です。Johnnyは当時のインタビューや自著で、「不良少年の強がりだけでなく、その奥にある繊細な優しさや寂しさをメロディに乗せたかった」と述懐しています。ただ荒々しいだけのロックではなく、親しみやすい歌謡曲のフックと哀愁を帯びたマイナーコード進行を巧みに融合させた職人芸的なソングライティングこそが、この楽曲の普遍的な土台を築き上げました。