物語の舞台は、埼玉県朝霞市。印刷会社に勤める主人公・青井葉太(あおい ようた)は、妻との離婚を経て、高齢の母が暮らす実家に戻り、代わり映えのしない日々を送っていました。そんなある日、家族の付き添いで訪れた地元の大病院の売店で、中学時代の同級生である須藤葉子(すどう ようこ)と35年ぶりに偶然の再会を果たします。
須藤もまた、過去に結婚と離婚を経験し、大腸がんの手術を経て売店で働いていました。中学時代はクラスの目立つ存在ではなく、決して特別な関係でもなかった二人が、50歳という年齢になって再び巡り合います。
若い頃の恋愛のような駆け引きや甘い情熱はありません。加齢に伴う身体の衰え、年老いた親の介護問題、世間体、互いが抱える過去の失敗など、生活の生々しい現実に直面しながら、二人はぎこちなく距離を縮めていきます。ファミレスでの食事、互いのアパートを行き来する時間、飾らない会話の積み重ねが、やがてかけがえのない絆へと育っていきます。