足の裏に異常な発汗がみられるとき、多くの人が真っ先に疑うのは気温や靴の通気性です。しかし、涼しい部屋にいるにもかかわらず靴下がぐっしょり濡れる場合、足の裏の汗が止まらない理由は体温調節機能ではなく、神経伝達系のエラーにあると考えられます。
足の裏にある汗腺は、体温調節を担う一般的なエクリン汗腺とは性質が異なり、主に緊張や興奮といった情動の変化に反応する「精神性発汗」を強く受けます。人間が太古の昔、獲物を追う際や敵から逃げる際に、足の裏を湿らせて滑り止めにするための原始的な防御反応が起源です。現代社会において仕事のプレゼン、対人関係のプレッシャー、慢性的な疲労に晒されると、足の裏の汗とストレスの真相として知られる通り、交感神経が暴走して汗腺へ過剰な発汗指令を送り続けてしまいます。
さらに見逃せないのが、自律神経の乱れによる足裏の汗にとどまらず、独立した疾患として位置づけられる「原発性足蹠多汗症」の存在です。日本皮膚科学会の診療ガイドラインでも定義されている通り、明確な基礎疾患がないにもかかわらず、足の裏に日常生活に支障をきたすほどの多汗が6ヶ月以上続く状態を指します。靴を履いていても1日に何度も靴下を取り替える必要がある、裸足でフローリングを歩けない、足裏の皮膚が浸軟して白くふやけてしまうといった症状がある場合、単なる体質ではなく医療機関での治療が必要なサインです。