海外渡航者や留学中の学生、現地法人で働くビジネスパーソンが実際に直面した現場のエピソードを検証すると、教科書的な知識だけでは測れない言語のリアリティが見えてきます。
カナダの大学に留学中の日本人学生の手記によると、学食のレジ前で雑談中に「My roommate got corona.」と話したところ、店員から「Oh, which brand did he buy?(へえ、どの銘柄のビールを買ったの?)」と聞き返され、数秒間の気まずい沈黙が流れたといいます。その後、「No, I mean COVID!」と言い直した瞬間に「Oh gosh, is he okay? You should get tested too!(なんてこと、大丈夫なの?あなたも検査を受けなきゃ!)」と店員の表情が一変したという実体験は、単語選びがもたらす認知のギャップを生々しく物語っています。
また、欧米の医療機関における受付現場でも同様の摩擦が確認されています。空港の検疫所や現地のクリニックにおいて、日本人旅行者が問診票の症状欄に「Corona」と手書きしたり口頭で申告したりした場合、医療スタッフから「Do you mean you tested positive for COVID-19?(COVID-19で陽性になったという意味ですか?)」と再確認を求められる事例が後を絶ちません。緊迫した医療現場や体調不良で疲弊している状況において、正確な語彙を用いないことは、診断や対応の初動を遅らせるリスクに直結します。