1954年生まれ、東京都出身の浅野和之。その華麗な経歴の礎となったのは、若い頃に培われた過酷な身体訓練とアングラ演劇の洗礼でした。安部公房スタジオへの参加や、パントマイム集団での修練は、言葉に頼らず身体一つで空間と感情を支配する特異な表現力を磨き上げました。
かつてのインタビューや手記において、浅野は「セリフを発する前に、まず身体がどう反応しているかが芝居のすべてを決める」と語っています。無名時代には食べることもままならない厳しい下積み生活を経験しながらも、徹底して肉体の可動域と空間認知能力を研ぎ澄ませたことが、後のステージで強烈な武器へと昇華しました。
小劇場ブームの熱気を肌で感じながら実力を蓄えた浅野は、1990年代以降、テレビドラマ界や商業演劇へと進出。鍛え上げられたフィジカルと変幻自在な表情筋を武器に、一度見たら忘れられない個性派俳優として瞬く間に業界内の注目を集めていきました。