夜間の泣き叫ぶ声に焦り、最もやってしまいがちな重大事故が「缶のまま電子レンジに入れる」行為です。これは製品パッケージにも明確に赤字で警告されていますが、改めて缶ミルクの電子レンジNGの理由を科学的見地から解説します。
金属缶を電子レンジで加熱すると、マイクロ波が金属表面で反射して激しい火花(スパーク)を散らし、電子レンジ自体の故障や火災を引き起こします。さらに、密閉された缶の内部で急激に気化圧が高まることで、容器自体が破裂・爆発する危険性が極めて高くなります。
仮に「耐熱容器や哺乳瓶に移し替えた場合」であっても、電子レンジでの直接加熱には慎重であるべきです。電子レンジは液体を部分的に急加熱する特性(加熱ムラ)があり、容器の底や一部だけが沸点を超える「突沸(とっぷつ)」と呼ばれる現象が起きます。表面や哺乳瓶の外側を触って人肌程度だと誤認し、そのまま乳首を含ませると、内部の熱湯状になったミルクによって赤ちゃんの口腔内や食道を重度熱傷させてしまう医療事故が報告されています。
急いでいる状況であっても、液体ミルクを哺乳瓶へ移し替えずにそのまま電子レンジへ投入することは厳禁であり、哺乳瓶に移してレンジを使う場合でも、加熱後に徹底的な攪拌(かくはん)と温度確認を怠ってはなりません。