ふじ屋の手ぬぐいを語る上で欠かせないのが、日本独自の伝統染色技法である注染(ちゅうせん)だ。型紙の上から特殊な防染糊をのせ、折りたたんだ生地の上から染料を注ぎ込み、裏面までしっかりと染め抜く。プリント印刷とは異なり、表も裏もなく同じ濃密さで色が通るため、生地の風合いが損なわれず、使うほどに柔らかく肌になじむ。
この手わざの美しさと高度な熟練技は、NHK BSプレミアム「美の壺」でも大きく取り上げられ、全国のファンを魅了した。微妙な気温や湿度によって染料の染み込み具合が変化するため、職人は長年の勘と手先の感覚だけを頼りに染料の量や圧力の抜き差しを調整する。均一でありながら、どこか温かみを感じさせるグラデーションは、まさに職人の魂が宿る一品と言える。