特定助教が直面する最大の壁が「任期の壁」と「無期転換ルールに伴う雇い止め」です。労働契約法第18条では有期契約が通算5年を超えた場合に無期雇用への転換申込権が発生すると規定されていますが、研究開発力強化法により大学の研究者・教員には「10年特例」が適用されます。
現場の研究者への取材やSNS・研究者コミュニティでの告白によると、大学側が将来的な人件費負担を回避するために「通算雇用期間の上限を最長10年(あるいは5年)とする」条項を就業規則に設けているケースが後を絶ちません。これにより、優秀な業績を上げてプロジェクトに貢献していても、契約上限年数に達した時点で自動的に契約終了となる現実があります。
ポスドクから特定助教へと職位名がステップアップしたとしても、本質的な身分の不安定さは解消されていません。研究室運営会議への参加権や専攻内での発言権が制限されている場合もあり、「教員としての責任ある肩書きを与えられつつも、待遇と雇用保障はポスドクの延長線上にある」という構造的歪みが現場のフラストレーションを生んでいます。