「網戸があるのになぜ虫が入るのか」という疑問に対し、大手サッシメーカーの開発関係者や住宅メンテナンス技術者は口を揃えて「サッシの幾何学的な噛み合わせ」を指摘します。一般的な引き違い窓は、部屋内側から見て「右側のガラス窓が手前(内障子)」「左側のガラス窓が奥(外障子)」、そして「網戸が最も外側のレール」に配置されています。
この構造上、窓枠と網戸フレームの密閉性が維持されるのは、網戸の正しい位置が右側にあり、右側のガラス窓を開けている状態に限られます。右側の窓を開ける場合、網戸の縦フレームと右側ガラス窓のフレームがぴったりと重なり合い、気密性を保つための毛状部材(モヘア)が隙間を塞ぎます。
ところが、風通しを微調整しようと左側の窓を半開きにしてしまうと、内障子と外障子のガラス面の間に1cmから1.5cm前後の空間が露出します。これこそが、多くの生活者が無意識に陥っている「網戸半開きの罠」です。どれほど高密度の網戸を張っていても、この開放されたガラスの隙間から虫は容易に屋内へと滑り込みます。
窓を開けて換気する際の鉄則は極めて明快です。網戸を右端に固定した状態で「右側の窓を全開にする」か、あるいは「右側の窓を半開きにする」こと。左側の窓を開け放つことは、自ら虫に侵入経路を提供している状態に等しいと知る必要があります。