「病院に行く時間がないからドラッグストアの薬で済ませたい」「帯状疱疹は薬なしで治るのか」と考える方も少なくありません。しかし、薬局で購入できる一般的な市販薬の塗り薬(抗ヒスタミン軟膏やステロイド外用薬、非ステロイド性抗炎症薬)で帯状疱疹を根本治療することは医学的に不可能です。
帯状疱疹の原因は、幼少期に感染した水痘(水ぼうそう)・帯状疱疹ウイルスが、過労やストレスによる免疫低下を契機に神経節内で再活性化することにあります。ウイルスは皮膚表面だけでなく神経の奥深くで増殖しているため、外用薬を塗るだけではウイルスの増殖を止めることはできません。むしろ、誤ってステロイド外用薬を使用すると局所の免疫が抑制され、ウイルスが増殖して症状が悪化する恐れすらあります。
適切な抗ウイルス治療を行わずに放置した場合、以下のような深刻な重症化リスクが待ち受けています。
- 帯状疱疹後神経痛(PHN):発疹が治った後も、焼けるような痛みや衣服が擦れるだけで激痛が走るアロディニア(異痛症)が数ヶ月〜数年間にわたって残存する。
- 水ぶくれの痕跡(瘢痕化):重症化して水ぶくれが破れ、細菌による二次感染を起こすと、深いクレーター状の瘢痕やケロイドなどの水ぶくれの跡が残る。
- 感覚麻痺・運動麻痺:運動神経にウイルスが波及すると、腕が上がらなくなったり腹筋が麻痺して腹部が膨隆するなどの機能障害をきたす。