東京ミッドタウン日比谷の地下通路を歩くと、ひときわ目を引くシックで凛とした佇まいの店舗が現れます。暖簾をくぐるための列は平日昼夜を問わず伸びており、平均して20分から40分前後の待ち時間が発生しています。なぜこれほどまでに多くの人々が鈴懸日比谷店に引き寄せられるのでしょうか。
第一の理由は、博多和菓子としてのアイデンティティと都会的モダンデザインの高度な調和です。鈴懸の菓子は、九州産の良質な素材を中心に仕立てられ、過剰な甘さを排した繊細な味わいが特徴です。さらに、パッケージや店舗内装に至るまで無駄を削ぎ落としたミニマリズムが貫かれており、若い世代から年配層、さらには日比谷周辺の劇場に通う観劇ファンや丸の内・有楽町エリアのビジネスパーソンまで幅広い層の心を掴んでいます。
第二の要因として、立地特性による複合的な需要の集中が挙げられます。東京メトロ日比谷駅・千代田線、都営三田線に直結しているアクセスの良さに加え、帝国劇場や東京宝塚劇場、日生劇場などが隣接するエリア柄、「観劇前の差し入れ」や「鑑賞後の自分へのご褒美」としての需要が極めて高い構造になっています。これが特定時間帯だけでなく、終日にわたって客足が途切れない大きな要因です。