住吉の長屋は雨の日に傘が必要?安藤忠雄の傑作と現在の住み心地を解剖

住吉の長屋は雨の日に傘が必要?安藤忠雄の傑作と現在の住み心地を解剖

住吉の長屋は雨の日に傘が必要?安藤忠雄の傑作と現在の住み心地を解剖についての最新情報をご紹介します。

ネット上やSNSで度々バズを起こす「雨の日に傘が必要な家」という言説。結論から言えば、この噂は一切の誇張がない純然たる事実です。

住吉の長屋の間取りは、長方形の平面を均等に3分割した極めて明快な構成をとっています。手前側(道路側)の1階に玄関と居間、奥側に台所と浴室・トイレを配置。その中央部分の3分の1を占めるのが、屋根が一切存在しない完全な中庭です。さらに2階部分には手前と奥にそれぞれ個室(寝室)が配されており、2階同士を行き来するためには中庭上空に架けられた外気に晒される渡り廊下を通らなければなりません。

つまり、夜中に2階の寝室から1階奥のトイレに行こうとすれば、階段を降りて吹きさらしの中庭を横切る必要があります。雨が降っていれば、住吉の長屋の住人は傘を差して中庭を歩くことになるのです。この特異な動線は、上下階および前後の部屋を結ぶ断面図を確認すると、いかに中央の中庭が外部空間として住居を分断しているかが一目で分かります。

一般的な住宅設計の常識から見れば「動線の完全な破綻」「不便極まりないレイアウト」と一蹴されかねないプランですが、これこそが安藤忠雄氏の意図した空間体験の核心でした。

林 結菜
著者

林 結菜

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。