ネット上のショート動画では「簡単でおしゃれ」と持て囃される裏ワザも、衣服の構造的な観点から検証すると、いくつか重大な盲点が存在します。
第一の誤解は、「どんな生地でも同じようにゴムで結んで良い」という思い込みです。ヘビーウェイト(厚手)の度詰めコットンTシャツを細いシリコンゴムで強く縛り上げたまま丸一日放置すると、繊維の組織が引っ張られた状態で固定され、洗濯しても結び目部分だけがポコッと飛び出たまま戻らなくなる「局所的な伸び」が発生します。大切なビンテージTシャツや厚手生地をアレンジする際は、接触面積の広い布製シュシュや太幅のヘアゴムを使用し、帰宅後は速やかに解いてスチームアイロンをあてる配慮が欠かせません。
第二の盲点は、安全ピンの太さと留め位置です。一般的なオフィス用の太い安全ピンをTシャツの前身頃(一枚布の部分)に直接刺してしまうと、生地の重みと身体の動きによって編み目が押し広げられ、ピンを外したあとに直径数ミリの目立つ穴が残ってしまいます。ピン留めを行う際は、必ず「脇のシームライン(縫い代の分厚い部分)」の裏側から、細身のクロバー社製などの極細ピンを通すのが、愛用服を長持ちさせる防衛策です。