一度深く傾倒した宗教組織から距離を置く、あるいは完全に脱退するプロセスには、想像を絶する困難と代償が伴います。過去に社会的な注目を集めた脱退劇や洗脳騒動の手記・会見からは、表現者が直面した生々しい葛藤が浮き彫りになっています。
ロックバンドX JAPANのボーカリスト・Toshlさんは、著書『洗脳 地獄の12年からの生還』の中で、自己啓発セミナーを装った団体(ホームオブハート)によって巨額の金銭を搾取され、暴力や精神的虐待を受け続けた12年間の壮絶な体験を告白しました。家族との不和や事務所関係者への不信感という「心の隙」を突かれ、徐々に思考力を奪われていったプロセスは、カルト的集団が著名人を心理的に支配する典型的な手口として大きな教訓を残しました。
また、タレントの辺見マリさんも、拝み屋を名乗る人物に数億円に及ぶ財産を騙し取られた過去をテレビ番組等で激白しています。愛娘の将来への不安や自身の仕事の行き詰まりから始まった小さな相談が、やがて完全な依存とマインドコントロールへと発展していった経緯は、誰もが陥りかねない精神的落とし穴の恐ろしさを物語っています。
脱退を決意した芸能人が直面する現実的な障壁は、精神的な苦痛だけにとどまりません。教団信者からの激しいバッシング、人間関係の完全なリセット、多額の違約金や裁判闘争、そして「過去にカルトに関わっていた」というレッテルによるキャスティングの敬遠など、再起への道のりは極めて険しいものとなります。