心臓病の自覚症状において、性差や病態による症状の違いは長年見過ごされてきた盲点のひとつです。典型的な「胸を鷲掴みにされるような強い圧迫感」とは異なり、女性を中心に多く訴えられるのが「左胸の奥がチクチク、ピリピリと痛む」という症状です。
左胸の痛みチクチク女性という訴えの背景には、肋間神経痛やホルモンバランスの乱れによる乳腺組織の過敏性だけでなく、近年医学界で注目を集める「微小血管狭心症」が隠れているケースがあります。これは太い冠動脈ではなく、心筋の隅々に張り巡らされた微細な血管が痙攣を起こす疾患で、更年期前後の女性に好発します。通常の冠動脈造影検査では異常が見つかりにくく、「更年期障害や自律神経失調症」と片付けられて適切な治療を受けられないまま、生活の質を著しく落としている女性が少なくありません。
また、胸痛ばかりに気を取られていると見落としがちなのが、心不全初期症状足のむくみです。心臓のポンプ機能が衰えると、重力の影響で血液が下半身に滞留し、水分が血管外へ漏れ出して激しい浮腫を引き起こします。単なる立ち仕事によるむくみとの決定的な違いは、「翌朝起きても靴下のゴム跡が消えない」「夕方だけでなく朝から足の甲やすねがパンパンに張る」「1週間で体重が2キロ以上増加する」という点にあります。
さらに進行すると、肺に水分が染み出る「肺うっ血」を引き起こし、横になって寝ると苦しくて息が吸えない状態に陥ります。「咳が止まらない」「風邪が治らない」と内科を受診し、レントゲンを撮って初めて心臓が肥大し肺に水が溜まっていた事実を知る患者は後を絶ちません。