インターネット上の美術コミュニティや知恵袋などでは、時折「ポッライオーロの描く肉体は筋肉が過度に誇張されすぎていて、グロテスクあるいは不自然ではないか」という声が見受けられます。静謐なルネサンスの聖母子画を期待して鑑賞すると、彼の描く筋骨隆々の人物群像に違和感を覚える鑑賞者がいるのも無理はありません。
しかし、この「筋肉の過剰さ」こそが、装飾的なゴシック様式から抜け出そうともがいていた15世紀フィレンツェの現場の熱量そのものでした。彼は単に人体を模写したのではなく、「静止した人体」ではなく「力を爆発させている人体」を描くために、あえて筋肉の隆起を強調するエクスプレッション(表現主義的デフォルメ)を選択していたのです。
【プロの結論】ポッライオーロ作品を鑑賞する際の向き・不向きの判断基準
アントニオ・デル・ポッライオーロの作品世界を深く味わうためには、鑑賞者自身の美術的関心とマッチしているかを見極める視点が必要です。
【深く感銘を受ける人(向いている鑑賞者)】
・人体のデッサン、骨格、筋肉のメカニズムに関心があるクリエイターや美術専攻者
・金属工芸やブロンズ鋳造のシャープな造形線、力学的な美しさを好む人
・盛期ルネサンスの巨匠たちが「何を基礎として育ったのか」という美術史の文脈探究が好きな人
【あまり共感しにくい人(慎重になるべき鑑賞者)】
・ラファエロやボッティチェリのような、柔和で甘美な色彩美や優美な抒情性を求めている人
・生々しい肉体格闘や緊張感のある描写に対して、精神的な重苦しさを感じてしまう人