「多来多来(たくたく)」という印象的な屋号を持つこの店舗は、京都府久世郡久御山町に位置しています。最寄り駅である近鉄京都線・大久保駅や京阪本線・中書島駅などからバスやタクシーを使わなければ辿り着けないロケーションでありながら、駐車場には他府県ナンバーの高級車が日常的にずらりと並びます。
なぜここまで予約が取れないのか。その構造的理由は主に3点に集約されます。
第1に、客席数に対する需要の異常な集中です。カウンターとテーブル、小上がりの座敷を合わせても約30席前後の小規模な店構えであり、1日の回転数は限られています。そこへ関西圏のみならず東京をはじめとする全国から遠征客が押し寄せるため、構造的に需給バランスが大きく崩れています。
第2に、メディア露出とSNSによる情報の拡散力です。かつて民放の人気グルメ特番や情報番組で「わざわざ行くべき郊外の名店」として取り上げられて以降、有名肉インフルエンサーの投稿が拍車をかけ、リピーターに新規層が上乗せされ続けるスパイラルが完成しました。
第3に、店主の目利きと妥協なき仕入れ体制です。多来多来では、ブランド名だけに頼らず、その日最も状態の良い最高峰の和牛を厳選。肉の繊維を見極めた繊細な包丁の入れ方によって、サシの重さを感じさせない軽やかな旨味を実現しています。一度この味と価格のバランスを体感した客が熱烈なリピーターとなり、翌月の席を争うサイクルが予約難度を極限まで引き上げています。