青い未熟な状態でフィリピンやエクアドルなどから日本へ輸入されるバナナは、そのままでは甘くなく食べられません。輸入港から届いた青バナナを黄色く熟成させ、最高の食べ頃に仕上げる工程こそが、佐藤バナナ店の真骨頂である「ムロ(熟成室)による追熟技術」です。
店舗の地下や奥に設けられた専用の熟成室では、密閉された空間内で微量のエチレンガスを用いて追熟のスイッチを入れます。しかし、単にガスを通すだけでは最高の味には仕上がりません。季節ごとの外気温、当日の湿度、バナナ自体の呼吸熱などを考慮し、わずか1度単位の温度調整と空気の入れ替えを職人の五感で行っています。
一般的な大量生産ラインでは数日間の定時スケジュールで一斉に黄色く着色させることが多いのに対し、佐藤バナナ店ではバナナの軸の締まり具合や皮の張りを見極め、時間をかけてじっくりとデンプンを糖分へと分解(糖化)させていきます。この丁寧なプロセスを経ることで、皮の薄いぎっしりと実の詰まった、濃厚な甘みと芳醇な香りを放つバナナが完成します。