医療機関での治療方針を定めた指針においても、起立性調節障害の改善において最初に取り組むべきアプローチとして位置づけられているのが、非薬物療法と呼ばれる日々の生活介入です。軽症から中等症のケースでは、自宅での環境調整を愚直に継続するだけで症状の緩和が見られるケースが多々あります。
最初に取り組むべきは、血液全体の循環量を物理的に増やすための食事療法です。厚生労働省の一般的な栄養指標よりも多めの水準を意識し、以下のような摂取管理が推奨されます。
- 水分補給の目安:1日あたり1.5〜2.0リットル(心疾患や腎疾患がない場合)。特に起床直後は身体の水分が枯渇しているため、寝床から起き上がる前にコップ1杯の常温水やスポーツドリンクを飲むことが有効です。
- 塩分摂取の工夫:一般的な減塩志向とは真逆のアプローチを取り、1日あたり通常量に加えて2〜3g程度の追加摂取(計10〜12g程度)を目指します。塩分(ナトリウム)は血管内に水分を留め、血圧を底上げするために不可欠な要素です。具沢山の味噌汁やコンソメスープ、梅干しなどを朝食に加える習慣が役立ちます。
あわせて重要なのが、下半身の筋力を落とさないための運動療法です。症状が重い時期に激しい有酸素運動を行うと急激な血圧低下を招くため、まずは重力負荷の少ない運動から着手します。寝たまま行える足首の曲げ伸ばし運動や、仰向けになって自転車をこぐように脚を回すペダリング運動、座った状態でのカーフレイズ(かかと上げ)を習慣化させます。ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれ、下半身に溜まった血液を心臓へ押し戻す筋ポンプの役割を果たしているため、この部位を無理のない範囲で刺激し続けることが、自律神経失調症の全般的な改善法としても機能します。