一次、二次を勝ち抜いた精鋭たちが挑む建築新人戦公開審査は、建築学生にとって生涯忘れられない濃密な言論空間となります。巨大な実物模型がステージに並べられ、審査員が学生を取り囲むようにしてマイクを握ります。
ここで試されるのは、プレゼンテーションのスライドを滑らかに読み上げるスキルではありません。建築家からの容赦ないクリティーク(批評)に対する「応答の誠実さ」です。「この柱、邪魔じゃない?」「このプランだと、雨の日に子どもはどう遊ぶの?」「本当にこの町にこんなものが必要だと思う?」といった、空間の核心を突く問いが投げかけられます。
このとき、用意してきた想定問答を機械的に繰り返したり、専門用語を並べて煙に巻こうとした学生は一瞬で見抜かれ、失速します。逆に、指摘された弱点を素直に引き受けつつも、「自分は都市のこの風景を変えたかった」「この場所で生まれる人の孤独を救うためには、この距離感が必要だった」と、自らの設計動機を肉声で語り切った学生の作品に、審査員たちの議論が集まります。審査員同士が作品の解釈を巡って激論を交わし始める瞬間こそ、最優秀賞が生まれる胎動です。