「Miree」がもたらした衝撃は、日本の音楽市場における構造改革の引き金でもあった。1970年代から80年代にかけての日本のシティ・ポップが持っていた洒脱なコード感と、90年代ロンドンを発火点とするアシッド・ジャズの骨太なブラックミュージックのフィーリング。これらを恐れを知らないストリートの感覚でミックスさせたサウンドは、画一化していたJ-POPのフォーマットに強烈なカウンターを浴びせた。
サビで分かりやすく爆発させるような従来の邦楽ヒットのセオリーをあざ笑うかのように、淡々と、しかし確実に熱量を帯びていくミニマルな構成。それでいて、一度聴いたら忘れられないキャッチーなメロディラインを同居させている。この絶妙なバランス感覚が、耳の早いクリエイターたちを震撼させ、その後のインディーシーン全体の潮流を劇的に変えることとなった。