天童よしみといえば、ふくよかな笑顔と力強い立ち姿がお馴染みですが、デビュー当時から現在と同じ体型だったわけではありません。そのキャリアとビジュアルの変遷を振り返ると、彼女のプロフェッショナルとしての覚悟が見えてきます。
幼少期、フジテレビ系の『日清ちびっこのどじまん』でその天才的な歌唱力を全国に知らしめた彼女は、1970年にテレビアニメ『いなかっぺ大将』の挿入歌「大ちゃん数え唄」を本名の吉田芳美名義で吹き込みました。当時のレコードジャケットや少年少女雑誌の写真に写る彼女は、くりっとした瞳が愛らしい、ごく普通の小柄な少女でした。
1972年、18歳で「風が吹く」にてプロデビューを果たした若い頃は、現在のイメージよりもほっそりとしており、清楚な女性演歌歌手としてのビジュアルでした。しかし、デビュー後の約10年間に及ぶ長い低迷期と地方巡業(いわゆるドサ回り)を経験する中で、彼女は「見た目の華奢さよりも、どんな劣悪な音響環境でも会場の最後列まで届く本物の声量とスタミナ」を追い求めるようになります。
1985年の「道頓堀人情」の大ヒットを機に、天童よしみはトレードマークとなる現在の「どっしりと福々しい、堂々たる体躯」を完成させました。小柄さをコンプレックスにするのではなく、むしろ「小さな体に無限のエネルギーを秘めたパワフルなキャラクター」へと昇華させたことが、老若男女から愛される国民的歌手としての地位を確立する決定打となったのです。