日が落ちる直前、あるいは空が白み始める早朝。ムクドリの群れは一斉に集まり、耳をつんざくような大合唱を始める。一見すると無秩序な大騒ぎに見えるが、これには明確な理由がある。天敵であるハヤブサやフクロウ、タカといった猛禽類から身を守るため、互いにコミュニケーションを取り合っているのだ。
本来、彼らは郊外の竹林や雑木林をねぐらにしていた。しかし、開発によって里山が失われた結果、天敵が少なく街灯で明るい街路樹や駅前の構造物に「安全地帯」を見出した。都市の人工灯火は夜間も暗闇を作らず、天敵の接近を早期に察知できる。人間の生活圏こそが、彼らにとって皮肉にも最強のシェルターになってしまったのだ。