ネット上の情報やSNSの育児コミュニティでは、「子供のお尻の赤みにはワセリンや市販の塗り薬をとりあえず塗っておけば治る」といった安易な対処法が散見されますが、ここには大きな医療上の盲点が存在します。
もっとも危険なのが、子供のお尻の湿疹に対して家庭にある市販のステロイド軟膏を無分別に使用することです。湿疹やかぶれ(接触皮膚炎)であればステロイドは劇的な抗炎症効果を発揮しますが、原因がカンジダ菌や白癬菌といった真菌(カビ)、あるいは溶連菌などの細菌であった場合、ステロイドの免疫抑制作用によって病原微生物が一気に増殖し、重篤な皮膚潰瘍や蜂窩織炎を引き起こすリスクがあります。
また、「お尻が汚れているから痒くなるのだ」と思い込み、入浴時に石鹸でゴシゴシと力任せに洗ったり、排便のたびにおしりふきで強くこすり拭きしたりする行為も典型的な誤解です。小児の肛門粘膜は極めて繊細であり、物理的な摩擦によって皮膚の皮脂膜が破壊され、かえってバリア機能が低下して慢性的な皮膚炎を引き起こします。清潔に保つことと、摩擦を加えることは根本的に異なるという認識を持つことが不可欠です。