かつて百貨店(西武百貨店、丸井)を核テナントとして運営されていた川崎ルフロンが、いかにして現在の「ファミリー特化型・体験型モール」へと変貌を遂げたのか。商業施設関係者への取材や運営会社の戦略資料を読み解くと、そこには川崎ルフロンリニューアルの真相とも呼ぶべき明確な生存戦略が存在していました。
西口にラゾーナ川崎プラザが開業した際、東口の既存商業施設は深刻な顧客流出に直面しました。アパレルの集積やブランド力でラゾーナと同じ土俵で戦うことは構造的に不可能である――この現実を受け止めた運営サイドが下した決断が、徹底的な「デイリーユース(日常消費)」と「ファミリー向け体験消費」への全振りでした。
リニューアルの目玉として上層階に誘致された日本初となる既存商業施設内水族館「カワスイ 川崎水族館」は、昼夜で演出を変える最先端のデジタル展示を導入し、遠方からの呼び水となりました。さらに低層階には大型スーパーマーケット「ライフ」を誘致し、家具の「ニトリ」や家電量販店「ヨドバシカメラ」との連携を強化。フロア中央には乳幼児が自由に遊べるキッズスペースと、広々としたベビーカー対応席を備えたフードコートを設置しました。
取材班の定点観測でも、週末のラゾーナが若者や広域からの来街者で身動きが取れないほどの混雑を見せる一方、ルフロンは落ち着いた雰囲気の中で未就学児連れの家族がゆったりと食事や買い物を楽しむ光景が日常化しています。過密都市・川崎における「子育て世代のシェルター」としての地位を確立した点に、リニューアルの真の勝因があります。