本番組を象徴する最大の発明であり、視聴者の好奇心を刺激し続けているのが床が開いて奈落へ落ちるギミックです。数々の出演芸人が自身のYouTubeチャンネルやインタビューでその裏側を証言しています。
フジテレビの特設スタジオ(主に湾岸スタジオ)に組まれるこのセットは、床面からピット底面までおよそ2.5メートルから3メートル前後の高低差を有しています。底面には特注の高反発および低反発ウレタンマットが多層構造で敷き詰められ、さらにその隙間を大量のウレタンブロック(キューブ状クッション)が埋める構造です。落下時の衝撃は体操競技のピットと同等、あるいはそれ以上に綿密に計算されています。
安全面への配慮は徹底しており、ピット内部には常に複数名の安全管理専任スタッフがヘルメットを着用して待機しています。芸人が落下した瞬間、スタッフが即座に受け止めを補助し、素早く横の退避エリアへと誘導します。これは、連続して行われるネタ披露で次の演者が同じ穴に落ちてきた際の衝突事故を防ぐための厳格なマニュアルです。
一方、芸人側にとっての恐怖は「高さ」よりも「落下のタイミングが自分では分からない」という心理的トラップにあります。セット足元のトラップドアはエアーシリンダーによって駆動しており、スイッチが入った瞬間に「バシュッ」という排気音とともに一瞬で底が抜けます。この開放スイッチは、審査員席の石橋貴明の手元ボタン、ならびにフロアディレクターの監視卓と直結しています。
ある常連芸人は手記で次のように明かしています。
「普通の舞台ならオチのセリフで自分で間を取れますが、細かすぎてはいつ足元が消えるかわからない。完全に踏ん張っている状態で急に床がなくなると足首を捻る危険があるため、常に膝の力を適度に抜き、重心をわずかに後ろへ逃がす『落下の受け身』を身体に叩き込んで挑むんです」
笑いの裏には、精密機械のような舞台技術と、演者の高度な身体能力の駆け引きが存在しています。