クループ症候群の好発年齢は生後6ヶ月から3歳頃であり、ピークは1歳から2歳の間です。この時期を過ぎると発症率は徐々に低下し、6歳前後になると発症することは極めて稀になります。
この年齢依存性には明確な医学的理由があります。乳幼児の声門下部は直径がわずか4〜5mm程度しかありません。この細い気道の粘膜が炎症によってわずか1mm腫脹するだけで、気道の断面積は60%以上も減少し、空気抵抗は実に16倍に跳ね上がります。成人の気道であれば1mmの腫脹でも自覚症状は軽微ですが、乳幼児にとっては命に関わる閉塞状態を招くのです。
4〜5歳を過ぎると喉頭軟骨がしっかりと骨格を形成し、声門周辺の内径自体が大きく広がります。そのため、成長に伴ってウイルス感染による気道浮腫が起きても、致命的な狭窄に至るリスクが構造的に激減していきます。「何度も繰り返して将来が不安」と感じる保護者も多いですが、身体の成長とともに自然と克服できるケースが大多数です。