アニメ版『斉木楠雄のΨ難』における鳥束零太の人気を決定づけたのが、実力派声優・花江夏樹氏のキャスティングです。
今や国民的アニメの主人公をはじめ、シリアスで心優しい少年の熱演で知られる花江氏ですが、本作における演技はまさに「怪演」と呼ぶにふさわしいエネルギーに満ちていました。下心丸出しで女性に甘えるときのねっとりとした声、斉木に泣きつく際の情けない金切り声、そして痛烈な制裁を受けた際の絶叫に至るまで、声優としての技術をフル稼働させて鳥束の愚かしさを表現し尽くしています。
当時のアニメ制作関係者や雑誌インタビューの記録によれば、花江氏自身も鳥束というキャラクターの「欲望に忠実で感情のブレーキが壊れている部分」を楽しんで演じていたと語られています。美形なビジュアルを持ちながら、発声の瞬間から下品さと情けなさが溢れ出るその演技プランは、アニメファンから「花江夏樹の最高傑作の一つ」「演技の振り幅が凄まじい」と絶賛を浴びました。鳥束というキャラの躍動感は、間違いなく声優陣の熱演によって完成されたと言えます。