今日では当たり前となった高層複合ビルによる街づくり。その原点となったのが、1986年に完成した「赤坂・六本木地区第一種市街地再開発事業」である。当時、権利者が複雑に入り組む未整備の地域を一体的に開発することは、常識外れの無謀な挑戦とされていた。
この難工事を牽引したのが、森ビル株式会社の社長として都市づくりの情熱に燃えていた森稔氏だ。地権者一人ひとりと膝を交え、17年という膨大な歳月をかけて合意を形成。「垂直の保護都市」という理想を掲げ、不屈の精神で事業を成功へと導いた。この挑戦は不動産・都市再開発業界に強烈なインパクトを与え、その後の日本における都市再生のスタンダードを決定づけた伝説的秘話として語り継がれている。