歴史探訪を目的とした会津坂下町観光のハイライトといえば、金塔山恵隆寺(通称:立木観音)です。大同3年(808年)に徳一菩薩によって開山されたと伝わる東北最古級の名刹であり、本尊の「十一面千手観音菩薩立像」は国の重要文化財に指定されています。
高さ約8.5メートルに及ぶこの巨像は、根が付いたままの一本の巨大なコウヤマキの霊木を、弘法大師(空海)が彫り上げたと伝えられる圧巻の一木彫です。堂内に足を踏み入れた瞬間、薄暗がりの中に浮かび上がる観音像の厳かな佇まいは、訪れるすべての者を圧倒します。堂を支える「抱きつき柱」に抱きついて祈願すると願いが成就するとされ、今も全国から篤い信仰を集めています。
また、町の伝統精神を体現する冬の風物詩が、毎年1月に開催される「大俵引き(初市)」です。400年以上の歴史を持つこの奇祭では、重さ約5トン、高さ約2.5メートルもの巨大な藁俵を下帯姿の男衆が東西に分かれて引き合います。東が勝てば豊作、西が勝てば米価が上がるとされ、厳冬の寒さを吹き飛ばす熱気は、地域の団結力と伝統文化の継承を見事に証明しています。2026年のイベント開催時にも、多くの見物客がその迫力を体感しに集まりました。