松崎しげるさんの3度にわたる結婚と離婚の軌跡は、現代の家族社会学や心理学の観点からも極めて示唆に富んでいます。
昭和・平成初期の芸能界やビジネス界に蔓延していた「仕事優先・家庭放置」の価値観は、夫婦関係における健全な心理的バウンダリー(境界線)を破壊し、パートナーに過度な孤独と自己犠牲を強いる構造を生み出していました。松崎さんの最初の2度の破局は、まさにこの「スターとしての社会的役割と家庭人としての役割の不一致」が招いた必然の結果だったと言えます。
しかし松崎さんの優れた点は、その痛烈な失敗から学習し、50代を迎えて築いた3度目の家庭において、自らの生活習慣と精神構造を根本から再構築した点にあります。年齢差を埋めるために相手を支配するのではなく、若い妻への敬意を払い、健康を維持して家族に寄り添い続ける姿勢こそが、長寿夫婦の秘訣です。
パートナーシップにおいて「過去の失敗そのもの」は致命傷にはなりません。問われるのは、過去の傷跡を自覚し、相手を対等な一個人として尊重できる人間的成熟を獲得できるかどうかなのです。