ちまたで「プリウスが事故を起こす理由はだいたいこれだ」と指摘される決定打には、明確な3つの構造的要因が存在します。これらが重なり合うことで、取り返しのつかない大事故へと発展するケースが目立っています。
第一の要因は、30系や50系に代表されるエレクトロシフトマチックの操作性です。レバーが常に定位置に戻る設計のため、現在のギアポジションを手元の感覚だけで把握しにくく、「後退(R)に入れたつもりが前進(D)に入っていた」という致命的な誤認を招きやすい点が挙げられます。
第二の要因は、ハイブリッド車特有の強力な初期トルクと静寂性です。ガソリン車のようなエンジンの唸り声がないまま、アクセルを踏んだ瞬間に最大トルクで急発進するため、ドライバーが「踏み間違い」に気づいたときにはすでに制御不能な車速に達してしまいます。
そして第三の要因が、高齢ドライバーの保有比率の高さと圧倒的な市場シェアです。燃費性能の高さとトヨタの強固な販売網により、運転歴の長いシニア層に広く普及した結果、加齢に伴う認知・判断力の低下が前述の車両特性と最悪の形で結びついてしまったと言えます。