不動高校の生徒たちを恐怖のどん底に突き落とした「放課後の魔術師」の正体は、温厚で生徒思いに見えた物理担当教諭、的場勇一郎(まとば ゆういちろう)でした。『金田一少年の事件簿』における多くの犯人が復讐のために手を染める中、的場の動機は「自らの過去の罪と保身」という、極めて異質かつ利己的なものです。
すべての悲劇の始まりは、事件の30年前に遡ります。当時、新任教師だった的場は、自身の研究論文を巡って激高し、口論となった女子生徒・青山ちひろを誤って突き飛ばしてしまいます。頭部を強打した彼女は息を引き取り、パニックに陥った的場は警察への通報を拒み、建設中だった木造旧校舎の壁の中に遺体を塗り込めて隠蔽しました。
完全犯罪を成立させるため、的場は自ら「不動高校 学園の七不思議」という怪談を創作・流布します。「開かずの生物室」や「手首の生える印刷室」など、人が寄り付かない立ち入り禁止エリアを人為的に作り出し、30年間にわたって青山ちひろの遺体が眠る壁を守り続けていたのです。
しかし、旧校舎の取り壊し計画が持ち上がったことで事態は急変します。ミステリー研究会会長の櫻樹るり子が七不思議の謎を解き明かし、遺体の隠し場所に辿り着きそうになったため、的場は「放課後の魔術師」を名乗り、口封じの連続殺人に踏み切りました。愛弟子のように接していた生徒たちを次々と手にかける冷酷な犯行は、読者や視聴者に強い衝撃を与えました。