地質調査の現場や設計協議において頻繁に生じるのが、「コストの安い一軸圧縮試験で三軸圧縮試験の代用はできないのか」という議論です。地盤工学の専門家や調査会社の技術者が指摘する通り、両者には力学的な適用限界において決定的な断絶が存在します。
一軸圧縮試験は、側圧をかけずに大気圧下($\sigma_3 = 0$)で供試体を圧縮する試験です。自立しない砂質土や礫質土では供試体そのものが自立できず試験不可能です。また、深さ20mや30mといった深い地盤から採取した粘性土の場合、現場で受けていた巨大な土圧から解放された状態で試験を行うため、サンプリング時の乱れや応力解放の影響を過大に受け、地盤が本来持っているせん断強度を著しく過小評価してしまうリスクを抱えています。
現役の地盤調査エンジニアへの取材や実務データによると、「過圧密粘土において一軸圧縮強さ $q_u$ だけで支持力計算を行った結果、基礎杭の設計が過剰に長大化し、施工費が数千万円単位で跳ね上がった」「逆に、側圧による強度増加を見込みすぎて崩壊事故寸前に至った」といった事例が報告されています。三軸圧縮試験は、地中の拘束圧を復元した上で試験を行うため、応力履歴や過圧密比(OCR)を考慮した高精度な地盤強度評価が可能なのです。