しかし、言葉がもたらした政治的コストは壊滅的だった。「あなたとは違うんです」というフレーズは、自民党政権が抱く「庶民感覚からの乖離」や「特権階級の選民意識」の決定的な証拠として野党に追及の材料を与え続けた。国民との間にある感情的な対話を断ち切った代償は極めて大きかったと言わざるを得ない。
この失言からわずか1年後の2009年8月、衆議院選挙で自民党は壊滅的な大敗を喫し、民主党への政権交代が現実のものとなった。政治アナリストの多くは、福田氏の発言そのものが下野の直接の原因ではないとしながらも、権力者と有権者の心理的距離を決定的に開かせた最大のトリガーとして、今なお政治コミュニケーションの失敗事例の筆頭に挙げている。