夜行バスが直前キャンセルに対して厳しいペナルティを課すのには、明確な構造的理由があります。夜行バスの座席は、ひとたび深夜に出発してしまえば途中で新たな乗客を拾うことが極めて困難な「極めて陳腐化の早い在庫(不可逆的在庫)」だからです。空席のまま走ることは運行会社にとって100%の損失となるため、直前のキャンセル料が高額に設定されるのはビジネスモデル上の自衛策と言えます。
行動経済学には、それまでに投資した金銭や時間を惜しむあまり、非合理的な判断を下し続けてしまう「サンクコスト(埋没費用)効果」という概念があります。「キャンセル料を取られるのが悔しいから」と、39度の高熱があるにもかかわらず無理をして夜行バスに乗り込み、車内で激しく体調を崩して周囲の乗客や乗務員に多大な迷惑をかける利用者が現実に存在します。数千円のキャンセル料を惜しんだ結果、旅先での通院費や救急搬送など、より甚大な損失を招く事態は絶対に避けなければなりません。
夜行バス利用に向いている人・慎重になるべき人の判断基準
- 向いている人:予定が完全に確定している人、万が一の予定変更時でもWebマイページ等から即座に自力で操作できるITリテラシーのある人、数百円〜数千円のキャンセル料をリスクコストとして割り切れる人。
- 慎重になるべき人(新幹線等の利用を推奨する人):小さなお子様連れや体調を崩しやすい人、仕事の都合で直前の突発的な残業・呼び出しが入りやすい人、電話窓口がないと手続きに不安を感じる人。
直前変更の可能性がある場合は、多少割高に見えても「普通運賃のJRバス(乗車直前まで数十円〜数百円の手数料で払い戻し可能)」を選択するか、キャンセル補償サービス(チケットガード等の旅行キャンセル保険)に加入しておくことが、結果として最大の防御策となります。