ゆずのライブ空間において、『夏色』は単なる1曲の演奏にとどまらず、エンターテインメントのクライマックスを担う重要な装置として機能しています。その象徴が、曲の終盤で繰り広げられる恒例の「もう1回!」コールです。
演奏がフィニッシュしたかに見えた直後、サポートメンバーが倒れ込み、北川が息を切らしながら「バカヤロー!」「もう1回できるわけないだろ!」と観客を煽るのがお決まりのルーティンです。そこから客席全体の怒号のような「もう1回!」のレスポンスを受け、倍速のテンポでサビを再演奏するコール&レスポンスは、もはや日本の音楽フェスやスタジアム公演における最高峰の一体感を生み出しています。
社会学的に見れば、この演出は演者と観客の境界線を融解させ、参加者全員が「共犯関係」となって祝祭空間を作り上げる見事な集団心理デザインの一例です。四半世紀にわたりこの演出が廃れない理由は、予定調和を超えたフィジカルな高揚感を観客自身が体感できる点にあります。