2010年に公開された『告白』は、日本のサスペンス映画史における決定的なエポックメイキングだ。鬼才・中島哲也監督の手によるスタイリッシュかつ冷徹な映像美と、松たか子の抑制された低音ボイスが見事な化学反応を起こした。「愛美は死にました」という静かな一言から始まるオープニングは、邦画史に残る緊迫感を生み出している。
怒りや憎悪をあからさまに叫ぶのではなく、冷ややかな瞳の奥に底知れぬぬかるみを潜ませる演技は、従来の劇映画の枠組みを鮮やかに打ち破った。この渾身の熱演は高く評価され、日本アカデミー賞協会が選出する第34回日本アカデミー賞において最優秀主演女優賞を受賞。授賞式での晴れやかな姿とともに、名実ともにトップ女優としての地位を揺るぎないものとした。