喪黒福次郎のキャラクター造形は、兄・福造へのアンチテーゼそのものだ。容姿こそ福造そっくりの福々しい巨体と丸顔だが、その内面と行動原理は180度異なる。
兄の福造が人間の欲望を刺激して自滅へと誘い込む「悪魔のセールスマン」であるのに対し、弟の福次郎はトラブルや悩みを抱えた人々の心に寄り添い、無償で救済の手を差し伸べる。職業は「喪黒福次郎の仕事」として描かれるよろず相談屋のような立ち位置だ。福造が人差し指を突き出して放つ破滅の呪文「ドーン!」に対し、福次郎は合掌や包容力ある言葉、あるいは不思議な霊力のような力で他者を危機から救い出す。
破滅のカタルシスを描くダークファンタジーの頂点に君臨した兄と、善意と人情で歪んだ日常を修復する弟。この強烈な二項対立こそ、本作が持つ最大の妙味である。